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【この記事の重要ポイント】
- 国際番号からの不審着信の主な特徴:+1844(アメリカ)、+86(中国)、+800(国際フリーダイヤル)、+234(ナイジェリア)などが代表的
- 主な危険性:高額な通話料金の発生、個人情報の窃取、金銭詐欺
- 最新の手口(2025年版):中国語自動音声、国内企業なりすまし、宅配トラブル装い、自動応答システム悪用
- 効果的な対策:着信拒否設定、不審な国際番号には応答しない、キャリアセキュリティサービスの活用
- 注意事項:+800などの国際フリーダイヤルも含め、どの国際番号からでも詐欺の可能性があるため注意が必要
国際番号からの不審な着信でお困りですか?具体的なリスクと対策
「昨夜、見知らぬ+1844から始まる電話番号から着信があり、不安で眠れなかった…」
「+86からの着信に出たら、突然中国語が流れてきて焦った…」
このような経験はありませんか?
国際番号からの不審な着信に悩まされている方は少なくありません。
実際に、総務省消費者庁によると、2024年の国際電話を利用した詐欺被害は前年比35%増加し、被害総額は約11億円に達しています。
この記事では以下の疑問を解決します。
- ☑ 国際番号からの着信は本当に危険なのか?
- ☑ どのように対処すべきか?
- ☑ スマートフォンでの着信拒否設定方法
- ☑ 被害に遭ってしまった場合の対応策
国際番号の基本情報と代表的な詐欺番号
国際番号とは何か?基本的な仕組みと背景
国際番号(国際電話番号)は、国ごとに割り当てられた固有の国番号から始まる電話番号です。
国番号の前には必ず「+(プラス)」が付き、その後に国ごとに指定された数字が続きます。
代表的な国際番号の例:
国番号 | 国名 | 特徴 |
---|---|---|
+1 | アメリカ・カナダ | 北米の共通番号。+1844などは無料通話用 |
+44 | イギリス | 欧州の主要国 |
+61 | オーストラリア | オセアニア地域 |
+81 | 日本 | 日本の国番号(海外から見た日本の番号) |
+82 | 韓国 | 東アジア地域 |
+86 | 中国 | 詐欺電話で最も多く使われる国番号の一つ |
+234 | ナイジェリア | 詐欺発信元として知られる |
+63 | フィリピン | コールセンター詐欺の発信元として増加中 |
+800 | 国際フリーダイヤル | 特定の国に属さない国際共通の無料通話番号 |
詐欺に使われやすい国際番号ランキング(2025年5月現在)
日本の警察庁の統計によると、2025年に日本で報告された詐欺電話の発信元として最も多かった国際番号は以下の通りです。
- +86(中国):全体の38%
- +1(アメリカ/カナダ):全体の21%
- +234(ナイジェリア):全体の12%
- +63(フィリピン):全体の9%
- +44(イギリス):全体の5%
注意
正規の国際電話であっても詐欺師が番号を偽装している場合があります。
国番号だけで安全性を判断することはできません。
国際番号からの着信による被害と具体的なリスク
国際番号からの不審な着信には、以下のような具体的なリスクがあります。
高額な通話料金の発生
某通信事業者のケーススタディでは、+1844からの着信に応答して3分間の通話を行った結果、約2,200円の通話料金が発生した事例が報告されています。
これは「国際着信転送サービス」と呼ばれる手法で、着信側が通話料を負担する仕組みです。
具体的な被害例
東京都の50代男性は、見知らぬ国際番号からの着信に約10分間応答した結果、月末の携帯電話料金に7,800円の追加料金が発生しました。
個人情報の窃取
詐欺師は巧妙な会話誘導により、個人情報を聞き出そうとします。
国内の金融機関や公的機関を装い、「セキュリティ確認」などと称して個人情報を要求するケースが増加しています。
具体的な被害例
大阪府の40代女性は、大手銀行を名乗る国際番号からの電話に応答し、口座番号やワンタイムパスワードを伝えてしまった結果、約120万円が不正送金されました。
金銭詐欺や不正アプリインストールの誘導
最新の手口では、通話中に「お客様のデバイスにセキュリティ上の問題が見つかりました」などと告げ、特定のURLにアクセスさせて不正アプリをインストールさせる手口が増加しています。
具体的な被害例
神奈川県の30代男性は、国際番号からの電話で「お客様のスマートフォンがウイルスに感染しています」と告げられ、指示されたアプリをインストールした結果、端末内の情報が抜き取られ、不正送金の被害に遭いました。
国際番号からの着信の最新手口(2025年版)
中国語での自動音声ガイダンス
+86(中国)や+1(アメリカ)からの着信で最も多いのが、中国語の自動音声が流れるパターンです。
主に在日中国人を対象にした詐欺ですが、日本人にも無差別にかけられています。
手口の特徴:
- 中国の大使館や領事館を装う
- 「あなたの宅配便に問題が発生している」と告げる
- 「あなたのビザに問題がある」と脅す
- 会話の中で個人情報や銀行口座情報を聞き出そうとする
国内企業を装った詐欺
NTTファイナンスや大手銀行、クレジットカード会社などの日本企業を装い、未払い料金や不正利用の確認などを名目に個人情報を聞き出そうとする手口です。
手口の特徴:
- 完璧な日本語で対応(日本語堪能なオペレーター)
- 実際の企業の電話番号を表示させる「番号偽装」技術を使用
- 「セキュリティ上の問題が発生している」と不安を煽る
- 「本人確認のため」と称して個人情報を聞き出す
宅配トラブルを装った詐欺
2025年に急増しているのが、宅配業者を装った詐欺です。特に通販利用者を標的にしています。
手口の特徴:
- 「お客様の荷物が配達できません」というSMSと連動
- 再配達のための確認と称して個人情報を聞き出す
- フィッシングサイトへの誘導
- 「配達先変更手数料」などの名目で金銭を要求
AIを活用した自動応答システム詐欺(2025年新手口)
2025年に入り急増しているのが、AIを活用した自動応答システムを悪用した詐欺です。
自然な日本語で会話するAIが対応するため、詐欺と気づきにくいのが特徴です。
手口の特徴:
- 人間のような自然な会話が可能なAIが対応
- 質問に応じて柔軟に回答する高度な会話能力
- 複数の国際番号から連携した着信(組織的な詐欺)
- 金融機関の正式名称や専門用語を正確に使用し信頼性を高める
国際番号からの着信への効果的な対策
予防策:着信前の対策
スマートフォンの着信拒否設定(機種別)
iPhone(iOS 18.2以降)の設定方法:
- 「設定」アプリを開く
- 「電話」をタップ
- 「着信拒否とサイレンス」をタップ
- 「知らない番号をサイレンス」をオンにする
- さらに詳細設定として「国際番号をブロック」をタップ
- ブロックしたい国を選択(すべての国際番号か特定国を選択可能)
Android(Android 14以降)の設定方法:
- 「電話」アプリを開く
- 右上のメニュー(︙)をタップ
- 「設定」をタップ
- 「着信拒否」をタップ
- 「番号指定拒否」を選択
- 「国番号から拒否設定」をタップ
- ブロックしたい国番号を選択
各携帯キャリアのセキュリティサービス
各大手キャリアでは、国際番号からの不審な着信を自動的にブロックするセキュリティサービスを提供しています。
キャリア | サービス名 | 月額料金 | 機能 |
---|---|---|---|
ドコモ | あんしんセキュリティ | 220円 | 危険な国際番号を自動ブロック |
au | 迷惑電話ブロック | 110円 | AIによる不審な着信の検知・警告 |
ソフトバンク | スマートセキュリティ | 220円 | 詐欺電話データベースとの照合 |
楽天モバイル | セキュリティサービス | 無料 | 国際番号フィルタリング |
着信時の対応:着信があった場合の対処法
国際番号から着信があった場合の適切な対応は以下の通りです。
- 応答しない:心当たりのない国際番号からの着信には出ない
- 着信を切る:間違えて出てしまった場合はすぐに切る
- 情報を提供しない:万が一会話になっても個人情報は絶対に教えない
- URLアクセスやアプリインストールをしない:指示されても従わない
- 折り返し電話しない:不在着信に折り返し電話すると高額料金発生の可能性
事後対応:被害に遭ってしまった場合
不審な国際番号からの電話で何らかの被害に遭ってしまった場合の対応手順は以下の通りです。
- 通信事業者に連絡:高額な通話料金が発生した場合は、契約している通信事業者のカスタマーサポートに相談
- 金融機関に連絡:個人情報や口座情報を教えてしまった場合は、すぐに取引金融機関に連絡し、口座凍結などの措置を依頼
- 警察への届け出:詐欺被害に遭った場合は最寄りの警察署または警視庁の特殊詐欺対策室に届け出る
- 消費者ホットライン(188)への相談:被害の相談や今後の対策について専門家のアドバイスを受ける
国際番号からの着信に関するよくある質問
Q1: +1844番号からの着信はどの国からですか?
A: +1844番号はアメリカ合衆国のフリーダイヤル(通話料無料)番号です。
しかし、IP電話技術の発達により、実際には世界中のどこからでも発信できるため、番号だけで発信元の国を特定することはできません。
Q2: 知人が海外にいるため、国際番号からの着信を完全にブロックできません。どうすれば?
A: 知人の番号だけを連絡先に登録し、「連絡先に登録されている人からの着信のみ受ける」設定にすると良いでしょう。
または、特定の国番号のみをブロックする設定を利用する方法もあります。
Q3: 国際番号からの着信に一度応答してしまいました。何か対策は必要ですか?
A: 単に応答しただけであれば、特に対策は必要ありません。
ただし、個人情報を伝えてしまった場合は、状況に応じて金融機関への連絡や不正利用のモニタリングなどの対策が必要です。
また、次回からは応答しないようにしましょう。
Q4: +800番号からの着信は安全ですか?
A: +800番号は国際フリーダイヤル(International Freephone Service)で、世界中で共通して使用される無料通話用の番号です。
本来は企業や組織が正規に使用するもので、基本的に受信側に通話料は発生しません(日本の0120番号と同様)。
しかし、2024年4月以降、この番号を悪用した詐欺が増加しています。
特に「中国大使館からの緊急連絡」と偽って個人情報や金銭を要求するケースが報告されているため、見知らぬ+800番号からの着信には注意が必要です。
Q5: +800番号は特定の国からの着信ですか?
A: +800番号は特定の国に割り当てられた番号ではなく、世界共通の国際フリーダイヤルです。
そのため、発信元の国を番号だけで特定することはできません。
これが詐欺師に悪用されやすい理由の一つです。
一方、+8XXで始まる番号(+81:日本、+82:韓国、+86:中国など)は特定の国に割り当てられた国番号ですが、これらも偽装される可能性があるため、心当たりがなければ注意が必要です。
Q6: SMSでURLが送られてきた場合はどうすればいいですか?
A: 国際番号から送られてきたSMSに含まれるURLには絶対にアクセスしないでください。
これはフィッシングサイトである可能性が高く、個人情報の窃取やマルウェア感染のリスクがあります。
国際番号詐欺から身を守るための最終チェックリスト
以下のチェックリストを参考に、国際番号からの詐欺電話対策を確認しましょう。
□ スマートフォンの着信拒否設定を確認した
□ キャリアのセキュリティサービスを確認した
□ 家族や高齢者にも注意喚起した
□ 心当たりのない国際番号には出ない習慣を身につけた
□ 万が一の場合の対応手順を確認した
まとめ:国際番号からの不審な着信への対策ポイント
国際番号からの不審な着信は増加傾向にあり、手口も巧妙化しています。
特に+1844(アメリカ)、+86(中国)、+234(ナイジェリア)などの特定の国番号からの着信には注意が必要です。
被害を防ぐための最も効果的な対策は
- 心当たりのない国際番号からの着信には応答しない
- スマートフォンの着信拒否設定を活用する
- キャリアが提供するセキュリティサービスを利用する
- 個人情報は絶対に教えない
- 不明なURLへのアクセスやアプリのインストールはしない
これらの対策を実行することで、国際番号を使った詐欺から身を守ることができます。
不審な着信があった場合は、一人で悩まず、通信事業者や消費者ホットライン(188)に相談しましょう。
最新情報は総務省消費者庁の「国際電話詐欺対策」ページでも定期的に公開されています。
定期的にチェックすることをおすすめします。