スーパーやドラッグストアで「詰め替え用」の商品を選ぶとき、あなたは何を基準に選んでいますか?
多くの人が「詰め替え用の方が安い」と思い込んでいますが、実は必ずしもそうとは限らないことをご存知でしょうか。
インスタントコーヒーや洗剤など、身近な商品で「詰め替えの方が高い」という意外な事実を掘り下げてみました。
意外な発見:詰め替え用の方が単価が高いケース
インスタントコーヒーで見つけた価格の逆転現象
インスタントコーヒーを購入する際、多くの消費者は「詰め替え用の方がお得だろう」と無意識に思い込んでいます。
しかし実際に1gあたりの単価を計算してみると、本体入りの製品より詰め替え用の方が高いケースが少なくありません。
Amazonで実際に販売されているオーガニックインスタントコーヒーを例に見てみましょう。
アリサンオーガニックインスタントコーヒー

- 本体 100g:1,350円 → 1gあたり約13.5円
- 詰め替え 80g:1,090円 → 1gあたり約13.6円
一見、詰め替え用の方が260円も安く見えますが、単価計算すると詰め替え用の方がわずかに高くなっています。
オーガニックマウンテン カフェインレス

- 本体 100g:1,273円 → 1gあたり約12.7円
- 詰め替え 80g:1,380円 → 1gあたり約17.3円
こちらはさらに顕著で、詰め替え用の方が1gあたり4.6円も高く、実に36%も割高になっています。
マウントハーゲン 通常タイプ

- 本体 100g:1,279円 → 1gあたり約12.8円
- 詰め替え 200g:2,410円 → 1gあたり約12.1円
一方、こちらのブランドでは詰め替え用が大容量になっており、単価は安くなっています。
マウントハーゲン カフェインレス

- 本体 100g:1,780円 → 1gあたり17.8円
- 詰め替え 200g:2,551円 → 1gあたり約12.8円
同じブランドでもカフェインレスタイプでは、詰め替え用の方が大幅に安くなっています。
このように、「詰め替え用=お得」という常識は必ずしも当てはまらず、同じブランド内でも商品ラインによって価格戦略が異なることがわかります。
洗剤類でも同様の傾向が
洗剤やシャンプーといった日用品でも同様の現象が見られます。
Yahoo!知恵袋などでも「詰め替え用の方が高い」という投稿が多数見られ、消費者の間で疑問の声が上がっています。
ある液体洗剤の場合
- 本体ボトル 900ml:498円 → 100mlあたり約55.3円
- 詰め替えパック 800ml:458円 → 100mlあたり約57.3円
一見安く見える詰め替え用も、単位あたりの価格で比較すると逆転していることがわかります。
なぜ詰め替え用の方が高いのか?企業の戦略を解明
マーケティング戦略としての「カミソリモデル」
この価格設定には、ビジネス戦略が隠されています。
カミソリ本体を安く売り、替刃で利益を上げる「カミソリモデル」と呼ばれる戦略の応用です。
本体商品を比較的安く提供して顧客を獲得し、その後の詰め替え商品で利益を確保するという方法です。
多くの消費者は一度本体を購入すると、同じブランドの詰め替え用を継続して購入する傾向があります。
企業はこの消費者心理を理解し、詰め替え用の価格を少し高めに設定しても購入される可能性が高いことを見越しているのです。
製造・物流コストの影響
意外に思われるかもしれませんが、詰め替え用パッケージの製造コストは見た目ほど安くない場合があります
- 特殊な密封技術や素材が必要
- 小分け包装による製造効率の低下
- 本体ボトルの大量生産による規模の経済性
また、本体商品は「目玉商品」として原価ギリギリの価格設定をしていることもあり、実質的に詰め替え用で利益を補填している可能性もあります。
賢い消費者になるためのチェックポイント
単価計算の習慣をつけよう
商品を選ぶ際は、総額だけでなく単位あたりの価格(100mlあたり、1gあたりなど)を確認する習慣をつけましょう。
多くの店舗では棚札に単価表示がありますが、ない場合は自分で計算してみることをおすすめします。
スマートフォンの電卓機能を使えば簡単に
- 価格 ÷ 内容量 = 単価
という計算ができます。
ポイントや特売を活用した賢い購入
詰め替え用と本体のどちらがお得かは、特売やポイント還元などのタイミングでも変わってきます。
定期的に大型の特売がある本体商品をまとめ買いする方が、結果的にお得になるケースもあります。
また、ネット通販では定期的にまとめ買いセールが行われることも多く、そうした機会を利用するのも一つの方法です。
まとめ:「詰め替え=お得」の常識を疑う
「詰め替え用の方が安い」という常識は、必ずしも正しくありません。
今回見てきたように、オーガニックマウンテンのカフェインレスコーヒーでは詰め替え用が36%も割高である一方、マウントハーゲンのカフェインレスでは詰め替え用の方が大幅に安いという正反対の例もありました。
賢い消費者になるためには、パッケージの印象や「なんとなく」の判断ではなく、実際の単価を計算して比較することが大切です。
特に同じ商品カテゴリでも、ブランドや商品ラインによって価格戦略が全く異なることを理解しておきましょう。
企業のマーケティング戦略を理解し、自分にとって本当にお得な選択ができるよう、買い物の際はぜひ単価チェックを習慣にしてみてください。
たった数秒の計算が、長い目で見れば家計の節約につながるかもしれません。